
『明鏡』の歴史と日本語ブーム
今回は、10年ぶりに改訂版の出た『明鏡国語辞典』第3版がテーマ。新型コロナウイルスの影響で2月に中止となっていた回をリモート配信に改めて開催した。
ゲストには『明鏡』と縁の深い書籍『問題な日本語』『みんなで国語辞典!』や、『辞典語辞典』などのイラストでおなじみの漫画家・いのうえさきこを迎えた。

トップバッターは、おなじみ飯間浩明による国語辞典ニュース。レギュラーメンバーの見坊・稲川の初共著であり、いのうえさきこがユーモラスな挿絵を提供した『辞典語辞典』をトップニュースとして報じた。このほか、相次いで公開された辞書に関する映画「博士と狂人」「マルモイ」などの話題も取り上げられた。

続く稲川智樹のスライドは「明鏡はどこから来たのか 明鏡は何者か 明鏡はどこへ行くのか」。『明鏡国語辞典』の創始者・北原保雄の著書『岐点の軌跡』の記述をベースに、『明鏡』の歴史をたどった。また、「文型による分類」「見落とされていた語句や意味・用法にも強い」「誤用を明記する」といったユニークな特長に触れ、既存の辞書に対する『明鏡』の新機軸をつまびらかにした。

飯間浩明は「明鏡国語辞典と日本語ブーム」の題で発表。『明鏡国語辞典』と連動した『問題な日本語』や「もっと明鏡」キャンペーンを振り返り、2002年に登場した同辞書と当時の日本語ブームの関係を取り上げた。日本語のご意見番として好評を博した『明鏡』に嫉妬していたと明かし、自らが携わる『三省堂国語辞典』への意欲を新たにしたとして締めくくった。
続いて、ゲスト・いのうえさきことのトークコーナーへ。『問題な日本語』等に掲載されたいのうえ自身のイラストを紹介しながら、国語辞典とマンガについて語り合った。
〝自由律俳句〟から「日本語警察」、用例ゲームまで
西村まさゆきの発表は、紙面に並んだ見出し語をつなげて自由律俳句を詠む「国語辞典自由律俳句」という破天荒な試み。「勾玉みたいに マカダミアナッツが 曲がった」「マザーボードが まさかの まさかり」などの怪作が息つく暇もなく繰り出され、オンラインの会場を疑問と爆笑の渦に誘った。

発表のトリとなる見坊行徳は、「明鏡は日本語警察か!?」と題して、日本語の間違いに厳しいといわれる『明鏡』の実態に迫った。『岩波国語辞典』『新明解国語辞典』といった類書との比較を通じ、『明鏡』が本当に厳しいということを検証。誤用に対する態度も辞書それぞれに個性的であり、引き比べが重要だと論じた。

最後に、締めくくりとして国語辞典の用例を使った新ゲーム「用例レイホ~♪」を全員で遊んだ。飯間浩明の発案による企画で、お題の言葉が辞書のどこで用例に出てくるかを当てる、というルール。たとえばお題が「財布」なら、「財布のひもをゆるめる」という用例のある項目の見出し語「ゆるめる」を当てられれば勝ちとなる。
全編リモートで観客席の反応もわからないという不慣れな体制ながら、いつも通り話題と笑いのたえないトークが繰り広げられ、『明鏡国語辞典』の魅力を再確認する回となった。